失敗しないフラッシュメモリの選び方
フラッシュメモリ、つまりUSBメモリやmicroSDカードといった、さまざまなデータストレージを選ぶポイントについてご案内します。
いわゆるフラッシュメモリにはいくつかの種類がありますが、結局のところ選ぶべきポイントは下記の項目が大事です。
- 目的(なにに使用するか)
- 種類(形状)
- 性能(容量、速度、耐久性、信頼性)
目的にあったフラッシュメモリを選ぼう
まず最初のポイントの「何に使う?」という部分からしっかりと見据えていきましょう。
例えば、「長期保存」と「一時的なバックアップ」では必要となる信頼性も耐久性も、形状や仕組みですらも大きく違ってしまいます。
どんな風に使うのか、何につかうのかを明確にすることで、あとの2つのポイント(形状・性能)もより明確になります。
スマートフォン用のSDカードが欲しい場合
スマホやタブレットに使うようなSDカード(microSDカード)は、とても頻繁に読み書きを行うことになります。
フラッシュメモリは基本的に書き替え回数に制限があります。使い古した消しゴムや、使いこんだノートのようにSDカードのようなメモリストレージも摩耗し消耗します。
microSDカードであればだいたい5000回ほどが目安と言われていて、それだけの回数の書き換えを行うと、書き替えそのものにロックが掛かるようにできているので、消耗品として1~2年程度で買い替えることを考えておきましょう。
一時的なバックアップ用などのストレージが欲しい場合
あくまでも利用方法そのものが一時的なものなので、取り扱うデータの容量に応じて最適な大きさのストレージであればよほど粗悪な物でなければ何でもOKと言えます。
スマホやミュージックプレイヤーのような機器の内部情報を一時的にバックアップしたいだけなら、データが相互で移動などの操作が簡単なmicroSDカードや、USBメモリスティック、または外付けのHDD(ハードディスク)やSSD(ソリッドステートドライブ)でも良いでしょう。
バックアップ用では業務用の巨大なデータを扱える「磁気テープ」なんてものもあります。
ついでに言えば、書きこんで保存する事を目的とするなら、純粋に長期保存用に作成された光ディスク(DVDやCD)に保存する方法がもっとも適しています。
フラッシュメモリの種類
ひとくちにフラッシュメモリといっても、実は非常にたくさんの種類があることをご存知でしょうか?
大まかに言えば、フラッシュメモリは形状ごとに分類されているものがいくつかあり、しかもその種類は増え続けています。
フラッシュメモリの形状
・SD ・miniSD ・CF(デジカメ) ・USBメモリ ・SSD ・microSD ・NMカード(HUAWEI専用) など
こうした形状に関しては、使えるか使えないかがはっきりと使いたい機器や端末で明記されているので、あらかじめの確認が容易です。
デバイスの「外部ストレージ」や「外部保存媒体」などの説明を確認して、microSDなのかminiSDなのかSDカードなのか~といったことを確認しておきましょう。
フラッシュメモリの性能
形状や用途によっていくつかの指標はあるものの、フラッシュメモリを要約する性能を知る方法は簡単です。
ですが、ちょっとややこしい名称がつけられているものもあります。
容量と速度
もっとも分かりやすい指標で、どのフラッシュメモリにも記載があります。
例:1 「256GB 40MB/sec」 例:2 「1TB 100MB/sec」
1番の例の場合で言えば、「256ギガバイトの容量を持っていて、1秒間に40メガバイトの読み書きができる」という意味をもっています。容量や転送速度の単位の一覧表については以下を参考にしてください。
バイト(byte) | キロバイト(KB) | メガバイト(MB) | ギガバイト(GB) | テラバイト(TB) |
1 ~ 1023バイト | 1 ~ 1023キロバイト | 1 ~ 1023メガバイト | 1~1023ギガバイト | 1~1023テラバイト |
1024単位ごとに繰り上げ | 1KB=1024Byte | 1MB=1024KB | 1GB=1024MB | 1TB=1024GB |
秒間の書き込み速度が速かったり、容量が大きいほど値段が高くなるのはご理解いただけると思います。
ちなみに、容量や読み書きの速度の中でもSDカード独自の規格分類が設けられていますのでご紹介しておきます。
容量の分類として用いられている表記が、「SD」「SDHC」「SDXC」です。
とてもよく目にする表示だとは思いますが、それぞれの容量区分は以下のようになっています。
SD | SDHC | SDXC | |
容量 | 2GBまで | 4GBから32GB程度 | 64GBから256GB |
互換性(SD,HC,XC) | o,o,o | x,o,o | x,x,o |
256GBとか、SDXCよりも上の規格は今のところ策定されていないので、最近のSDカードはSDXCが標準の規格と考えておいてOKです。
続いて速度ですが、こちらも以下のようなマークに見覚えはないでしょうか?
SDXCは先ほども説明した容量の規格ですが、それ以外の表記として「V30」「Ⅰ」「U(中に3)」「C(中に10)」といったこれらのマークは全て、読み書きに関する速度を表しているマークです。
「V30」 : V30のVは「ビデオスピードクラス」を指します。数字がそのままMB/secを表していて、秒間に書きこめる速さを瞬時に理解できるような単位と言えます。
「Ⅰ」 : バスインターフェースの速度を指すマークです。ストレージの読み込み速度を表している単位で、表記がないものもあります。超高速の読み込みを実現するⅡ以上の規格は専用のスロットになります。
「U」 : UHSスピードクラス。ウルトラハイスピードの略で、10MB/sec以上の書き換え速度をもつカードに印字されます。こちらも数字の大きさに比例します。
「C」 : スピードクラス。もっとも一般的な指標で数値がそのままMB/secで表示される。Vの一世代前の指標。最大は10MB/secを意味するC10。
「A」 : アプリケーションパフォーマンスクラス。スマホやタブレットで使用するときの目安として策定された規格で、Aのあとに続く数値が大きければ大きいほど高性能。
さまざまなSDカードが世の中に出回っていますが、上記の規格について多少なりとも前知識があれば、だいたいの性能を簡単に把握できるのでおすすめです。
耐久性
あまり言及されることはありませんが、フラッシュメモリには耐用年数を指し示す基準が設けられています。
とくにNAND型といわれているタイプのフラッシュメモリは以下の4タイプの基準に分類されているので、選ぶときの参考にしてください。
SLC | シングル レベル セルの略。単純な仕組みで構成されているためエラーの発生率が低く、書き替え回数も最大10万回と非常に多くなっていることが特徴。ただし、とても高価。しかも経年劣化という他の要素としての問題も抱えているので、製品がほとんど存在しない。 |
MLC | マルチ レベル セルの略。実用性と価格のバランスに優れた業務用として人気の仕組みで、構成セルが倍(2bit)になったためにやや速度がSLCに比べて低下している。最大書き替え回数はそのぶん低下していて、最大1万回~4万回程度。 |
TLC | トリプル レベル セルの略。こちらの構成セルは3bitとなり、さらに速度と書き替え性能が落ちた分、価格もよりお手頃価格になった。最も一般化が進んでいてSSDなどに採用されているタイプで、書き替え最大回数はおおむね3000回から5000回が目安。 |
QLC | クワッド レベル セルの略。構成セルが4bitとなり、さらに速度が遅くなり、場合によってはHDDよりも遅くなってしまうこともあります。また価格はより安価にとおもいきやそれほど安くありません。最大書き替え回数も300回から1000回程度と、完全に一時保存用としての役割しか果たせない程度の機能しかないこともネック。 |
特にSSDを購入するときは、最低でもTLCが標準レベルとして考えておかないと、驚くべき速さで故障します。ドライブレコーダーなどのように頻繁に書きこみを行うものはSLCやMLCを使いたい所ですが、SLCは国内産は2GBでも5000円以上の価格で販売されているものもありますので、十分に吟味する必要があります。
逆に、動画の録画などの記録だけを目的としていて頻繁な書き替えをさせない場合は、TLCやQLC、はては現在開発が進められているPLCでも十分に利用できるともいえます。
いずれにしても、書き替えに対する耐久性が必要かどうかを考えて選びましょう。
品質
品質を担保する最大のポイントはズバリ「補償期間」です。
たとえば、SanDiskの場合であれば補償期間内に故障や限界を迎えた場合に交換保障を適用してもらえる場合があります(要審査)。
>>>SanDiskのサポート・ホーム
補償の対象となっているかどうかを調べるには、以下のページで確認ができます。
>>>サンディスク製品保証期間の一覧
自分が所有しているカード(ストレージ)がどのタイプなのかを確認して、どの補償が適用されるかを見ておきましょう。
実際に故障したときに「交換申請」を行うときのフォーマットです。入力方法が日本的ではなくアメリカ的な印象をうけますので少し戸惑うかもしれません。
フラッシュメモリの選び方は使い方次第
ながながと書き連ねてきましたが、結局のところ「どれだけの容量のメモリ」を「どのように使う」のかというポイントがしっかりと目的として定められていれば、おのずと最適解が見えてきます。
単純に「安いから」とか「早いから」だけでは本来の目的と合致しないことがままありますので、「最高」のデバイスをもとめるのではなくて、「最適」なデバイスを検証することが大切って話です。
目的に対して最適なアプローチと結果を得られるフラッシュメモリはどういうものなのかを十分に検討した上で、それぞれの性能と価格で比べて購入してください。