【Kenshi 小説】太刀鋼―Tachigane―

「ちょ、っとこれは。 洒落に、なんねえな」

 茶褐色の甲殻をもつアルファ個体を先頭にして、さながら魚鱗のように連なる魚人たちを背後に抱えた俺は、島を東へただひたすら走っている。魚人たちの動きはかなり統制がとれており、まるで一つの大きな生き物のように追随してくる。その「集団の強さ」を見誤ったために、今こうして逃げ回っているのだから笑えない話だ。

 途中、甲殻生物の大型カニの集団をすり抜けるように走ることで、魚人たちの食欲を刺激させてやるのだが、どこからともなく新手が現れるので一向に減る気配が見られない。この速度であればどこまでも走り続けられる自信はあるが、はたして限界を迎える前に逃げ切れるのだろうか?

「……しかたねえ」

 新手が現れるのであれば現れない場所に行けばいい。

 幸いにもそろそろこの島からロイヤルバレーへと抜ける長大な橋が見えつつある。あの橋を渡れば少なくともこれ以上の魚人たちが加わって、この滑稽ともいえる謎の隊列を組む必要性はなくなるだろう。

 まったく。爺さんの小言が聞こえて来そうだ。

(ほれみい、ちゃんと見とらんからこうなる)

「うるせえ!」

 ヒリヒリと痛む腕に顔をしかめながら叫ぶ。イラつきはその痛みのせいなのか、はたまた後悔とも羞恥ともいうべきか。おそらくはその両方からくるものだった。

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GOSH

【五所川原銭夫(Gosh)】  【経 歴】暗号通貨ビットゼニーを愛するゲーマー。新しい物面白そうな物を体当たりで試そうとしては、恐妻にシバかれるまでが日常。  【Twitter】五所川原銭夫?ZNY+(@stak999)さん | Twitter  【欲しい】◇支援物資を送る◆

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